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2009年2月21日土曜日

Big3研究会,都市州創設を提言

横浜・大阪・名古屋3市による大都市制度構想研究会が「日本を牽引する大都市 ―『都市州』創設による構造改革構想―」を公表しました.道州制での都市州創設,大都市税の創設と大都市財源の全国への水平調整,大都市の住民自治機能の充実を内容としたもの.本格的な大都市制度の構想に踏み出した点で評価されます.

大都市制度構想研究会ホームページ :http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/chousakouiki/bunken/3shikenkyu/top.html

なかでも「大都市部の税収が、道州間の水平的な財政調整を通じて、全国に行き渡る仕組みを構築していく」(12頁)という発想は,大都市財源を都区一体となって確保する都区財調制度に対してはきわめてインパクトの大きい提言といえます.

他方で,都市州の設置をどの規模程度にまでとどめておくかは,前提とする道州制のあり方に関わる重要な点です.横浜,大阪,名古屋でもそれぞれの地域で想定される道州のなかでの重みはまったく異なります.

いずれにしても,道州制論がリアリティを持つために最低限不可欠だと考えていた二つの課題のうち,大都市制度についての解答の試みと位置づけられます(いまひとつは,離島・中山間地などの小規模自治体・地域の課題).

関連して,日本都市センターの都市分権政策センターに設置された道州制と都市自治体に関する検討会が「道州制に関する意見」をまとめていますので,紹介しておきます.

道州制と都市自治体に関する検討会「道州制に関する意見」 :http://www.toshi.or.jp/bunken/iken090209.pdf

2009年2月9日月曜日

横浜市『新たな大都市制度創設の提案』

横浜市が設置する大都市制度検討委員会が1月30日に最終報告をまとめました.都道府県制度,道州制いずれの場合についても広域自治体に包括されない大都市制度の創設を提言しております.

また,区レベルについては,住民自治や参加機能を強化することが掲げられ,議会的な区民代表機関のイメージを打ち出した点も特徴的です.

さて,近く「都区制度改革と大都市東京」をテーマとして論稿を公表します(原稿提出済み).実体なき「東京市」をめぐる都区改革の歴史(都と区による「東京市」の本家争い?)は,結局のところ「東京市民」の虚像のもとで,東京の市民性,市民自治の可能性の芽を摘んでしまったのでは,という問題意識のもと書き上げたものです.大都市制度をめぐる動きが活発となってきましたが,「実体」のある横浜市を含む旧5大市などと東京とではますます隔たりができてきそうです.

関連して,今井照福島大教授「地方自治の中の東京」(『都政新報』2月6日号)は,私と問題意識を共有する論説としてご紹介しておきます.今井さんとはかつて第1次特別区制度調査会でご一緒したことがありますし,今井著『市民自治のこれまで・これから』(公職研,2008年)で私が今井さんから都区制度に関してインタビューを受けたりもしました.

かつての特別区制度調査会のとき,今井さんの論説の最後でも触れられている都区間協議の形態(当時議論したときは都区のあり方検討会はなく,法定の都区協議会についてでしたが)について疑問を呈し,調査会の中間報告に盛り込もうとしたことがありました.しかしながら,「基本的には改革以前の仕組みを継承しており、その運営は実質的に改革以前のままである」といった微温的な表現にとどめられてしまったという経験があります.今井さんが今回の論説で一矢報いていただきました.感謝申し上げます.

(参考)横浜市大都市制度検討委員会ホームページ:

第1次特別区制度調査会中間報告: