横浜市が設置する大都市制度検討委員会が1月30日に最終報告をまとめました.都道府県制度,道州制いずれの場合についても広域自治体に包括されない大都市制度の創設を提言しております.
また,区レベルについては,住民自治や参加機能を強化することが掲げられ,議会的な区民代表機関のイメージを打ち出した点も特徴的です.
さて,近く「都区制度改革と大都市東京」をテーマとして論稿を公表します(原稿提出済み).実体なき「東京市」をめぐる都区改革の歴史(都と区による「東京市」の本家争い?)は,結局のところ「東京市民」の虚像のもとで,東京の市民性,市民自治の可能性の芽を摘んでしまったのでは,という問題意識のもと書き上げたものです.大都市制度をめぐる動きが活発となってきましたが,「実体」のある横浜市を含む旧5大市などと東京とではますます隔たりができてきそうです.
関連して,今井照福島大教授「地方自治の中の東京」(『都政新報』2月6日号)は,私と問題意識を共有する論説としてご紹介しておきます.今井さんとはかつて第1次特別区制度調査会でご一緒したことがありますし,今井著『市民自治のこれまで・これから』(公職研,2008年)で私が今井さんから都区制度に関してインタビューを受けたりもしました.
かつての特別区制度調査会のとき,今井さんの論説の最後でも触れられている都区間協議の形態(当時議論したときは都区のあり方検討会はなく,法定の都区協議会についてでしたが)について疑問を呈し,調査会の中間報告に盛り込もうとしたことがありました.しかしながら,「基本的には改革以前の仕組みを継承しており、その運営は実質的に改革以前のままである」といった微温的な表現にとどめられてしまったという経験があります.今井さんが今回の論説で一矢報いていただきました.感謝申し上げます.
(参考)横浜市大都市制度検討委員会ホームページ:
第1次特別区制度調査会中間報告:
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